幻想のかけら

オリジナル小説を書いています。現在、「魔法使いの息子」というタイトルで掲載中。

はじめに

こんにちは。ぶぶのんと申します。

オリジナル小説「魔法使いの息子」を書いています。

この物語は、父親を殺された息子が、
復讐心からその真犯人を追い求めていく過程で、
神々によって隠蔽されていた様々な真実に出会っていく、
という内容になっています。

この物語を最初から読みたい人は、
魔法使いの息子:第1話「全てを失って」
からお読みください。

構想自体はあるものの、
それをどこまで書ききれるかわかりませんが、
最後までお付き合いいただくと幸いです。
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テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

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魔法使いの息子:第33話「サポート役の生徒」

次の日、ジョージは島にまだ残っている他の受験者達を部屋に集めた。

「すでに聞いているものもいるかもしれないが、実技試験中に事故があり、
 アレス君が命を落とした。」

部屋がざわめく。トレイも驚きを隠せない。

ジョージは受講生達にアレスが命を落としたときの状況の説明を行った。
召還された闇の精霊の攻撃を受けて倒れた後、即座に治療を受けたが、
呪いのようなものがかかっており、回復できずに命を落としたとのこと。
呪いについての原因は調査中で、闇の精霊を召還した教員に状況を聞き取り中だが、
詳しいことはまだわかっていない、とのこと。

「トレイ君の実技試験がそれにより中断された。
 アレス君の葬儀のことや、調査もあるので、現在の進行中の試験の中断の意見もあったのだが、
 最終的に続行することに決定された。
 ただ、葬儀の準備や調査と並行して進めていく必要があるため、日程に変更がある。」

ジョージが受験者達の実技試験がまだ終わっていないものの試験日程と、
合格発表の日程の話をする。

「今日は、トレイ君の実技試験のみ行う。
 ただ、トレイ君の相方が必要になるのだが、だれか、立候補はいないだろうか?」

「私やります」

「セゼルス君か。君はすでに実技試験を終えており、結果待ちの状況だと思うが、、、、、」

「構いません。手伝わせてください。」

「わかった。それでは、よろしく頼む。」

トレイがセゼルスの方を見る。クラスではほとんど話したことのない女子だが、一応知っている顔だ。
アルテの姪。何度か顔を合わせたことがあるものの、詳しくはしらない。
アルテから剣を学びつつも、魔法の適性があったため、アカデミーに入学、勝気な性格、その程度だ。

トレイがセゼルスに軽く会釈すると、セゼルスも会釈を返してくる。

ジョージが、トレイとセゼルスに向けて、実技試験の日時と場所を知らせる。

「トレイ君はこんな状況の中、大変だとは思うが、、、」

「いや、大丈夫です。戦いで人が命を落とすの、見慣れているので。」

「、、、、、そうか。」

トレイの発言で、もともと微妙な雰囲気だったのが、さらになんともいえない雰囲気になる。
トレイは思ったことをそのまま言っただけだったのだが、ちょっと失敗したかな、と少し後悔した。

「話としては以上だ。
 アレス君の葬儀に関しての連絡は、後で別途各自の部屋に連絡がいくと思う。
 解散してくれ。」

トレイが部屋に帰ろうとすると、セゼルスが声をかけてきた。

「よろしくね。」

「ああ、こちらこそよろしく頼む。でも、良かったのか?」

「何が?」

「実技試験もう終わってるんだろ?わざわざ手伝ってくれて、こっちは助かるけどな。」

「魔法で戦うのって、貴重な体験なんだよね。できるだけ経験しておきたいから。」

この女、戦闘ジャンキーだ。

「やっぱり剣の方が得意なのか?」

「そりゃあね。でも、師匠からはせっかく魔法が使えるのだから、そっちも鍛えておけって言われてるからね。
 こういう実践に近い経験が積める機会は貴重なのよ。」

「そうか。それならいいけどな。」

「じゃ、今日はよろしくね。」

セゼルスはさっさと自分の部屋に向かっていった。

実践では剣を封印して、魔法だけで戦うことになるだろうが、
アルテから剣を習っているなら、戦闘はうまいはず。

相方の腕前に少し期待したトレイだった。

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魔法使いの息子:第32話「アレスの治療」

タロウに連れられて治療師のもとに、サリーエルとトレイが来ると、
アレスの体がベッドに横たえられていた。

「彼の様子はどうだね?治療できそうかね?」

サリーエルが聞くと、治療師が答える。

「やけどの方は大したことなさそうなのですが、回復魔法をかけても体力が戻りません。
 呪いのようなものがかかっているようです。急速に弱っていっています。」

「私にも見せてみなさい」

サリーエルが呪文を唱えて、アレスからの魔力の反応を見る。

「確かに呪いのようなものがかかっているね。詳しくは私にもわからないが、、、。」

「何があったのですか?」

治療師の隣にいた、別の職員がサリーエルに尋ねる。タロウと同じく助手の立場の様だった。

「実技試験だ。闇の精霊と戦ってもらったのだがね。
 精霊からの攻撃を受けてこうなったのだ。」

「召還したのは誰ですか?」

「タロウだ。」

全員の視線がタロウに集まる。

「え、、、。わ、、。」

「後で私の部屋に来なさい。詳しい話を聞かせてもらおう。」

「は、はい。わかりました。
 えと、アレス君は大丈夫なんでしょうか?」

「それは私が君に聞きたい。」

「え、えーーー。あの、、、」

「とにかく!私の部屋に来なさい!今すぐに」

サリーエルは足早に部屋を出ていくと、タロウがすぐについていく、
のかと思いきや、部屋の扉を出る前に立ち止まって、サリーエルに質問する。

「あ、あの!トレイ君の実技試験はどうしましょうか?
 こんな事態ですし、日を改めて、かつ、1人ではなく、2人で戦えるようにもう1人サポート役の生徒を選出して、
 実技試験のやり直しを実施してみては!」

「どうでもよいそんなことは。好きにしろ!」

「わ、わかりました。ジョージ!そういうことで話を進めておいてくれ!進め方は任せる!」

「わかったから、早く行けよタロウ。」

治療師の隣にいた助手はジョージというらしい。
タロウはサリーエルを追いかけて部屋を出ていった。

部屋に沈黙が訪れる。治療師はアレスと向き合って、治療のための呪文を色々と試しているが、
効果があまり出ていないのか、しきりに首を振っている。

他の治療師も部屋に来て、様々な呪文を書けて、容態を確認し始めたが進捗は思わしくないようだった。
治療師で部屋がごった返してきた。色々と治療師の間で議論がされているようだったが、
有効な対処方法が打てていないようだった。

しばらくして、ジョージと呼ばれた助手の男がトレイに声をかけた。

「君はもういいから、部屋で待機していなさい。
 実技試験のことは、私で段取りをとっておく。サリーエル先生とも相談しておくから。
 タロウはこの件で手を離せなくなるだろうから、私が助手として進めることになるだろう。」

「アレスは大丈夫なのでしょうか?」

「それは私にもわからない。
 タロウから有効な情報が出てくればよいのだがね。
 それがキモになってくるように私には思える。
 
 悪いことをするような男ではない。何か事故のようなもので、
 強力すぎる、あるいは、厄介な能力をもった精霊を間違って召還してしまったのかもしれない。
 
 そうだとしても、彼からの情報が必要だろう。
 君は心配しなくてよい。我々に任せてくれ。」

「わかりました。」

トレイは治療室を出て、部屋に戻ることにした。

ただ、部屋に戻って落ち着いたとき、少し違和感を感じた。
あの状態であれば、タロウは相当慌てただろうに、自分の実技試験を心配できる余裕がよく合ったものだと。

おそらく彼は責任をとらされることになる。
最悪の事態になったときのことを考えると、気が気ではないだろうに。

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魔法使いの息子:第31話「追加試験」

翌日、追加試験のため、トレイとアレスはサリーエルの執務室に顔を出した。
心なしか、アレスの表情が暗い。

「サリーエル先生、おはようございます。」

「おはようございます。」

「2人ともおはよう。
 今日も昨日と同じく実技試験を行うが、精霊は前回よりも強力なものを新たに召還した。
 アレス、手加減はしなくていい。
 君の実力は昨日見せてもらったので、君の魔法の強度でも耐えれる精霊だよ。」

「は、はい・・・。」

「では、試験を行う部屋に移動するとしようか。
 2人とも体調は問題ないかね?」

「はい、大丈夫です。」

「大丈夫です。」

昨日と同じ部屋につくと、助手のタロウがすでに待機しており、
精霊が一体タロウの傍に浮かんでいた。
昨日と大きさは似たような精霊だったが、雰囲気が異なっていた。
暗い紫色をした球体で、時折、赤色の火花のようなものが
球面の表情を血液が流れるようにうごめいていた。
一言で言うと、不気味。なんというか、禍々しい雰囲気だった。

トレイは直感的に、アレはやばい、と思った。
魔力に満ち溢れていて、すぐにも強力な攻撃魔法がとんできそうな感じがあった。
試験開始と同時にでかいのがきて、一気にやられる可能性がある。
序盤は、即発動可能な防御魔法を唱えてガードと回避に専念しながら様子見。
初撃を凌いだあとは、何とかアレスと連携しないとなんともならないかな、、と考えた。

横目でアレスをちらっと見ると。
何か思いつめたような表情をアレスはしていた。
どこか心ここにあらず、といった様子。
おいおい、大丈夫かよ、、、、、と思いつつ、トレイはアレスに尋ねる。

「アレス。連携はどうする?」

「臨機応変。好きにしてくれ。」

明らかに危機感がない。目の前の精霊のやばさにアレスが気付いていない様子を見てとったトレイは、
負けを覚悟する。立ち回りでなんとか先生達にアピールするしかないか、などと考えた。

「それでは、準備はいいかな?」

サリーエルが2人に尋ねる。

「サリーエル先生、大丈夫です。始めてください。」

アレスがそう答え。トレイも軽くサリーエルに向かってうなずく。

「では、始め!」

掛け声と同時にアレスが飛翔の魔法を短くつぶやき、空中に飛び上がる。
トレイは短く防御用呪文を唱え、透明な魔力でできた盾を目の前に出現させ、精霊からの初撃に備える。
精霊の周囲から赤色の火花が一瞬強まったかと思うと、それが鞭のようにしなって、
アレスに襲い掛かる。

アレスは空中で鞭による打撃をぎりぎり回避。
よけながらアレスは空中で風魔法を素早く唱え、精霊に向かって風の刃を飛ばす。
と、ここで、精霊の姿が消えた。

「?」

トレイが素早く周囲を見渡しながら、短く別の防御用呪文を唱え、全方位のバリアを敷く、
と同時に、アレスの背後に精霊が突然出現する。

「アレス!後ろ!」

アレスが振り返るより早く、鞭がアレスを撃ち落とす。

「がはっ!」

アレスは鞭に打たれて地面に叩きつけられる。受け身なしでそれなりの高さから落とされたので、結構なダメージだ。

「アレス!」

トレイはアレスの元に走っていく。バリアを敷いている状態でアレスのもとに駆け寄り、アレスの盾となろうとするが、
アレスが地面に叩きつけられた直後に、精霊のいる方向から炎の球がアレスめがけて発射される。

「!」

トレイの目の前で、アレスに炎の球が着弾する。
ノーガードで炎の球をくらったわけだ。ただでは済まない。

「ギブアップです先生!試験の中断とアレスの治療を!」

「トレイ君どいて!」

タロウが駆け寄ってくる。
走りながら小声で呪文を唱えると、タロウの手に持った杖が青白く輝き、青の霧のようなものが杖を包む。
どこかで見たような光景。
タロウは杖をアレスに向けて、精霊を青い霧で包むと、アレスを包んでいた炎が消える。
衣服が黒焦げで大やけどを負ったアレスの姿が現れた。
その姿を見て、サリーエルが感情のこもらない声で静かにつぶやいた。

「おやおや。ずいぶん威力のある攻撃魔法が使えるとは思っていましたが、
 防御の方は、あまり得意ではなかったようですね。」

アレスの体はぴくぴくと痙攣していた。青白い炎はまだアレスの体を包んでいる。
回復効果のある魔法のようだった。
アレスはぎりぎり息はあるようだったが、非常に危ない状態なのが見て取れる。

「タロウ、アレスを急いで治療室へ連れて行ってくれ。」

「わかりました。」

「彼は強力な魔法使いだから、この程度のけがなら回復可能だろう。」

吐き捨てるようにサリーエルが言った。
タロウは魔法でアレスの体を持ち上げて空中に浮かべると、アレスを連れて急いで去っていった。
途中、タロウは地面に落ちていた何かを拾ってポケットに入れる。

トレイがふと精霊の方を見ると、鞭のようにしなっていた赤色の火花は消えていた。
あれは何だったのだろうか?
精霊が使う武器のようだったが、トレイも見たことのない攻撃だった。
アレスの体は痙攣していたことから、炎の球による追撃も大きかったが、
最初の鞭による攻撃の方が、アレスに深いダメージを与えていたようにトレイは感じた。

「トレイ君。君はギブアップといったけど、試験を辞退する、という意味かね?」

「い、いえ。アレスの状態が非常に危険に思えたので、とっさに口にしました。
 不合格で良い、という意味で言ったわけではないです。」

「そうか。では、このまま試験継続しても問題ないかね?」

んん? 何を言っているんだ、この人は?
トレイは、そんな場合ではないように思えた。
アレスの容態を何とも思っていないサリーエルに違和感を覚えた。

「えっと。アレスは大丈夫、なんですか、ね、、、。」

「さっきもいったが、彼なら問題ないのではないかな。タロウの応急処置も適切であったしな。
 君の方が問題ないなら、試験を再開したいのだが?」

この人問題感じてない。神経おかしい。これだから魔法使いは。
トレイは思考停止になりそうになりながら、なんとか質問に答えた。

「試験再開はちょっと待ってください。棄権する訳ではないのですが、
 アレスの容態を見に行きたいです。心配ですし。」

「アレスの事故のことを君が気に病むことはないよ。専門の治療師がいる。今君にできることは何もない。
 それより、合格を目指しているのであれば、試験を再開するべきだ。
 昨日のこともあり、試験の日程が押しているのでね?
 今から再開するか、それとも試験自体を棄権するか、今選んでくれ。」

めちゃくちゃだ。大したことのない事故、という扱いにしようとしている。
そして、いつのまにか究極の選択をさせられることになるようだった。

「えっと。あの、、、、」

「早く決めたまえ」

そのタイミングでどたどたと走ってくる音が聞こえてくる
ふとそちらの方をみると、タロウだった。

「サリーエル先生!
 アレス君のことなのですが、ちょっと急いできてもらってもいいですか!」

「なんだね、一体」

「アレス君の容態が急激に悪化しました。毒による攻撃を受けたことが影響しているようです。」

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魔法使いの息子:第30話「精霊」

実技試験の内容は試験官が召還する精霊との戦闘。
周囲に被害が及ばないように防御用の空間魔法がかかっている特別な部屋で行われる。
人が200~300人は入れそうな大きめの部屋。飛翔の魔法を使用した戦闘も想定されており天井も高い。
精霊に魔法による一定のダメージが与えられると、精霊は赤く光って動作を止める。
試験官が召還したすべての精霊を赤く光らせれば試験終了となる。

ただ、精霊に勝てば試験合格ではなく、使用した魔法の強度や精度、
精霊からの攻撃に対する防御の展開、仲間との連携、戦闘での立ち回りを総合的に判断し、
試験官と助手の2名からの採点により合否が決定する。
精霊との戦闘の勝ち負けも点数に影響するが、
負けた場合は、特別な理由ががない限り不合格となる。

助手は、サリーエルの部下であるタロウという正魔法使いが行う。
サリーエルがタロウを2人に紹介する。

「今日の試験の助手を務めてくれるタロウだ。
 正魔法使いとして孤島フィルズで私の研究の補佐を行ってくれている。」

「タロウです。よろしくお願いします。」

トレイとアレスも名乗り、挨拶をかわす。

「今から私が研究を行うときに手伝ってくれる精霊達を召還する。
 私の自慢のとても強力な精霊達だ。手加減するように頼んではあるが、
 あまりにつらい場合は、降参すると早めに言ってくれ。
 もちろん戦闘が危険だと判断したらこちらでも精霊を止める判断を行うので、
 そこは安心してくれ。」

「はい、わかりました。よろしくお願いします。」

アレスはそう受け答えする。ただ、なんだかニヤっとしたかのようにトレイには見えた。
たぶん、自信があるのだろうとトレイは思った。

サリーエルが呪文を唱え、精霊が3体召還された。
それぞれ青・緑・黄色に輝く人の頭くらいのサイズの球体だ。
サリーエルと何らかの意思の疎通を行っているらしく、
サリーエルがそれぞれの精霊に何も言わなくとも、
精霊はトレイとアレスが立っている場所を囲むような位置に移動した。
ちょうど、3体の精霊が作る三角形の中心にトレイとアレスが立っているような形だ。

サリーエルとタロウが、その場所から少し離れた場所に移動する。
サリーエルがトレイとアレスの正面から見えるところに、タロウが背面側に位置どる。

「それでは、そちらの準備ができたら教えてくれ。」

アレスがトレイの方を見る。

「オレが前の青と左側の緑をやるから、トレイは右側の黄色を。
 先に片付けたら俺の邪魔をしない程度に後は適当にしてくれ。
 そんなもんで、後は連携もいらないだろ。」

「わかった。」

「じゃ、それでいいな。」

色々と指摘したいこともあったが、めんどくさいのでトレイはそれで同意した。

「サリーエル先生、準備できました。」

「では、始め!」

緑がその場で光を強くし、青が即座に天井に向かって移動、黄色が後ろに下がる。
緑が即座に発動する攻撃魔法、青が支援、黄色が時間がかかる攻撃力の大きな攻撃を打ってくるとトレイは予想。
連携が取れている様子なので、サリーエルが指揮をしているという予想も行う。
黄色が何かするまえに邪魔をできるよう、トレイは即発動できる魔法を唱え始める。

アレスは飛翔の魔法を短くつぶやき、杖を取り出して青に向かって突進する。
緑の魔法がトレイの背中に当たろうとお構いなし、というところだ。
近距離攻撃用の呪文を素早く唱えると杖が青白く光る。
青が回避行動をとろうと移動するが、アレスは飛翔の魔法を使いこなしており、
青に即追いつく。素早く青白く光った杖で青を上から打撃し、青が地面にたたき落される。

緑の魔法が発動し、トレイの背中に向かって粘つく粘液が発射されると同時に、
トレイは黄色に向かって水の刃を連続で飛ばす。そのうち何発かを背中の粘液に向かって発射。
粘液をすべて撃ち落とす。
黄色は刃を回避しようとするが、何発かあたり呪文の詠唱を中断される。

アレスは空中で風魔法を素早く唱え、青、緑、黄色3体同時に向けて風の刃を飛ばす。
緑は回避。青と黄色はすでに攻撃がヒットした後で十分な体制がとれておらずそのまま命中。
青が変色し、赤く光って動きを停止する。

「えー、早いなあ2人とも。もう1体の精霊が動作停止だよ。
 でも、アレスとかいう子、残念な子だなあ、、、ま、僕はしらないけど。」

タロウは見ていて感心しつつ、なぜかアレスを残念呼ばわりする。

「ほほう。2人ともなかなか。連携はともかくなかなかのものだね。」

サリーエルも感心した。

アレスが飛翔を解除し落下しながら炎の球の呪文を素早く詠唱、
地面に着地と同時に炎の球を緑に向けて放つ。
それと同時にトレイが石礫の呪文の詠唱を終え、黄色に向けて10発放つ。

トレイは青の動作停止を見ていたので、個々の精霊の耐久度を予想し、
黄色の予想残耐久度から、全力で石礫を10発すべて当てると、オーバーキルになって
下手をすると精霊を殺害してしまう可能性があると考え、あえて広範囲に放って、
よけにくく、かつ、いくつか当たってしまったら機能停止、となるように調整して黄色に攻撃する。

「む!いかん!」

サリーエルが、アレスの放った炎の球の威力に危険を感じる。

炎の球は緑に着弾すると、緑はダメージを受けて機能停止。
それだけならよかったのだが、炎の球は緑にぶつかってなお、緑を通り過ぎてさらに十分な威力をもって、
緑の後ろにいるすでに機能停止している青の精霊に向かっていく。

サリーエルはとっさにシールドを展開しようとするが間に合わない。
炎の球は青に着弾し、機能停止していた青の精霊を破壊する。

「あああ!ラピスよ!なんてことだ!」

サリーエルが両手で自分の顔を覆う。
アレスは、精霊ごとき破壊したところでどうというのだ、という表情をみせる。
その表情を見て、サリーエルの顔色が変わる。
と同時に黄色がトレイの攻撃を受けて、赤く光り機能停止する。

「試験終了!二人ともお疲れさまでした!」

助手のタロウが宣言し、青の精霊のところに走って向かう。
走りながら小声で呪文を唱えると、タロウの手に持った杖が青白く輝き、青の霧のようなものが杖を包む。
タロウは杖を青の精霊に向けて、精霊を青い霧で包むが、青の精霊は何も反応しない。

一時的な機能停止どころではなく、完全に物理的に破壊されたようだ。

「サリーエル先生、、、、。」

タロウが申し訳ないように、サリーエルの方を向き首を横に振る。

「いや、タロウいい。わかっている。」

サリーエルがアレスの方を無言で見つめる。

「・・・・。」

アレスもここにきて、自分が何をしたか気付く。

「す、すいません。威力の調整を間違えてしまったみたいで。申し訳ありません。」

アレスはサリーエルに向かって頭を下げた。

「アレス、傲慢なのではないかね?
 精霊ごときただの道具だと君は思っていないかい?」

「い、いえ。そんなことは。
 ただ、私が未熟なあまり精霊も耐えられないような威力の魔法を」

「君は自分の魔力を誇りたいあまり、
 あえて私の精霊を虫けらのように扱ったようにも見えたが?
 緑と青を串刺しにできるように、あえて強度を上げて魔法を打ったのではないかね?」

「そんな!
 そんなつもりは誓ってありません。」

「私も君の魔法の威力を考慮して、精霊達の耐久度をもっとあげておくべきだったのだろうな。
 未熟なのは私の方だ。
 申し訳ないが、明日、再試験を行わせてもらう。
 君たちには、もっと強化した精霊と戦ってもらった方が、ちゃんと実力を見れるのだろうね。」

サリーエルは、それ以上アレスを責めることはなく。
淡々と、明日の予定を2人に言い渡して、部屋に戻るよう指示をした。

・・・

部屋に戻ってトレイは思った。

「(オレは関係ないんじゃねーの?
  黄色殺さなかったじゃん。アレスの自分勝手戦闘でも連携とっているていになったじゃん。
  アレス一人でやってくれよ。あーあ、巻き込まれちまったなあ。
  アレスが悪いってことはないんじゃね?サリーエル先生が自分で言ってたけど、自分の精霊は自分で守れよ・・・。)」

明日もまた試験である。

そういえば、とトレイは思い出した。確かに、アレスは残念だ。
でも、そう言われたタイミングがなんかおかしくないか?
あの助手、なんていったっけか?
そうだ、タロウだ・・・って、なんか珍しい名前だな・・・。

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