幻想のかけら

オリジナル小説を書いています。現在、「魔法使いの息子」というタイトルで掲載中。

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魔法使いの息子:第2話「父の遺産」

龍のブレスが体に届く前に、
防御魔法をオレは発動させる。

アカデミーで習っているものは、どれも呪文の詠唱が必要で、
時間がかかるものばかりだ。
こんな非常事態にはとても間に合わない。

父が教えてくれた魔法はたったの2つ。
攻撃魔法と防御魔法。名前もそのまま。
ただ、父から習った魔法はアカデミーで習うものとは
全く性質が異なっていた。呪文の詠唱が不要なのだ。
思い描くだけで、即発動する。

「ふん!やはり持っているではないか!」

どうやら、父親が盗んだものは、この魔法のことだったようだ。

ブレスには防御魔法は有効だったようだが、
体の疲労感が半端ではない。

「なんとか防げたかな。へへへ・・・。」

「よろよろだな。人間よ。」

龍の2撃目のブレスが来る。
オレは再び防御魔法を発動させるが、
この防御魔法は、攻撃を受ければ受けるほど、自分自身の生命を削る、
という性質があるのか、めまいがしてくる。

2撃目の龍のブレスが終わる頃には、
忍耐が尽きて、オレはとうとう倒れてしまった。

どうも、防御魔法の3度目の発動は無理なようだ。

「人間よ。
 おまえの命を奪っても良いが、命乞いをするならば、
 考えてやらないこともない。」

どういうことだ・・・。

「その魔法は人間には禁じられたものなのだ。
 私は、それを取り返しに来た。
 
 おまえの父親を殺したから、
 その魔法を知っている人間は、おまえ一人だけだ。
 
 私は、人間の頭から、その魔法に関する記憶、技術を、
 消去する精神魔法を扱うことができる。
 
 おまえが私に身を委ねさえすれば、
 私はおまえの父親が魔界から人間界に持ち帰った
 魔法の知識を再び人間界から消去することができるのだ。
 
 私に身を委ねよ。
 
 簡単なことだ。
 私が精神魔法を唱えている間、
 そのまま何もせず、横たわっておけばよい。
 
 そうすれば、命だけは助けてやろう。」

了解。そうしてくれ。

もともと、アカデミーで習う魔法よりも、発動スピードだけは速いものの、
それ以外にとりえはない。
アカデミーで習う魔法のほうがよっぽど強力で、役に立つ。

今回、龍のブレスが防げたのもまぐれのようなものだ。
こんな弱い魔法、いらないさ。

「眠れ。人間よ。
 その魔法は、人間には高度すぎて、身に余るのだ。
 
 充分に力を引き出せないのなら、
 最初から持っていないほうがよいのだ。」

オレの知らない呪文の詠唱が聞こえる。

そして、強烈な眠気が襲ってくる。
オレはそのまま逆らわずに、眠気に身を委ねることにした。

もしかしたら、そのまま殺されるのかもしれないが、
オレのような弱者にはふさわしい死に様なのかもしれない、
と思いながら。

・・・ところが、そうはならなかった。

「起きなさい。人間よ。
 その魔法を手放してはなりません。」

また、直接、脳みそに語りかけてくるヤツがいる。
今度はなんだ。どうも、龍ではないようだ。

誰だか知らないが、好き勝手いいやがる。

「その魔法は、私が、そなたの父親に命じて、
 開発させた古代の魔法。
 
 魔界から持ち帰ったものではなく、
 そなたの父親が歴史の狭間に埋まった記憶から掘り起こし、
 独自に調整し作り上げたもの。
 
 魔界と戦うときの剣となるものです。
 
 起きて立ちなさい人間よ。私が戦い方を教えてあげる。」


オレはこれをきっかけに、魔界と神界の間の闘いに
巻き込まれていくこととなるのだが、
そのときのオレは、全く訳がわかっていなかった。

ただ、よくわからないままに、さっさと死んで、
父親のものに行くことを思い焦がれていたかもしれない。

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魔法使いの息子:第1話「全てを失って」

そのときのことは、よく覚えていない。

アカデミーの式典の最後に、父の葬式が行われ、
色んな人がオレのところに来て、励ましの言葉だろうか?
何を言われたのか、ほとんど覚えていないのだが、
色んな言葉をかけていった。

オレは泣かなかった。

父のことは尊敬していた。
父は魔法使いとしては、アカデミーでも5本の指に入る存在で、
高ランクである「ウィザード」の称号を得ていたが、
さらに、上位ランクである「オズ」の称号の叙勲式を迎えるまでにあたり、
オレは父のことが自慢で自慢で仕方なかった。

明日が叙勲式、というときに、オレは全てを失った。

いまだに理由がわからない。
わけがわからない。

なぜ、父は死ななければならなかったのか。

あの日、巨大な龍がオレの家をいきなり襲った。
龍なんか見たのは初めてだった。

なぜ龍が人里に下りてきて、しかも、オズクラスの魔法使いに
ケンカを売ったのか、誰もわからない、と言っていた。

通常であれば、オズクラスの魔法使いにとって、
龍なんて相手にならないものらしい。オレも知らないのだが。
だいたい、龍なんて、そのときのヤツしか知らないからな。

しかし、そのときの龍は、まさにバケモノだった。
オズクラスの父親の魔法は一切通用しなかった。
オレの目からも両者の力の違いは、明白だった。

さんざんもてあそばれた後、父は、ブレスに焼かれて死んだ。

オズクラスの魔法使いにとって、シールドも張れずに、
むざむざブレスに焼かれて死ぬだなんて、屈辱的だ、恥知らずだ、
と、父を妬む他の魔法使いが言っているのを、
式典で聞いたが、思いっきり殴ってやった。すかっとした。

今のオレは、家もない。父親もいない。
母親は、だいぶ昔に父親を見捨てて、若い男に走った。

さて、どうしようか。

アカデミーの寮に寝泊りしても良いように、
ケリー先生が取り計らってくれたので、
さっそくそこにいって一日中ボーっとしているのもいいが、
なんだか気が向かない。

気付くとオレは、もう龍に蹂躙されて、悲惨な状態となっていた、
家の前に立っていた。

なぜだか、ここに来る道中、周りの人がすごく騒いでいるようだったが、
オレは聞いていなかった。何もかもがどうでも良かった。
周囲に何も気を配らずに、ただ、家の前に来た。
そこで、生まれて初めて、戦いというものを覚えることになるとも知らずに。

そう、これが全ての始まりだった。


・・・・


そこには龍がいた。

昨日来ていたヤツだ。
オレをにらんでいる。
憎しみにあふれた目だ。

オズクラスさえもかなわない龍。
誰に助けを求めても、意味なんてない。
気付くと回りには人は誰もいなかった。

オレとヤツだけだ。

ただ、なぜだか、オレは何も感じなかった。
恐怖も、憎しみも。

ただ、
「ああ、殺されるんだな」
と思った。

オレはそのまま動けずに、ただ、龍を見つめていた。


・・・・


龍がオレに語りかけた。

「返せ」

・・・何のことだ?

「知らないのか?返せ!」

どうも、オレの心を読んで、直接脳みそに語りかけているようだ。
返せって、何をだ?

「おまえの父親が、盗んだものだ。返せ!」

殺せばいいだろう。力づくで奪え。どうせ、何も持っていやしないがな。

「いいだろう!では、死ね!」

龍がブレスを吐くべく、大きな口をあける。


そう、オレはそのときは、まだ、何も知るべくもなかったが、
全てはこれが始まりだった。

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