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幻想のかけら

オリジナル小説を書いています。現在、「魔法使いの息子」というタイトルで掲載中。

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魔法使いの息子:第10話「会談」

ケリーの予想に反して、モーズは、アカデミー総長であるイステラと
ケリーの前で、事件の全容を話してくれた。
まるで、そこで実際に目撃していたかのように。
疑問を感じたイステラが、その点を指摘すると、
モーズは、この一言で片付けた。

「全て、アプラウス様から伺っておりますので。」

そういわれると、イステラとしてもそれ以上の追求は出来なかった。

そうして、モーズは事件の全容を話した後に、
アカデミーとして、何か新しい情報が知りたい場合は、
正アプラウス教会に問い合わせれば、全て回答する、
という確約をした上で、次のように釘をさしてきた。

「この件に関して、トレイ様にご質問なされることは、
 以降、禁止させていただきます。
 違反なさった場合は、アプラウス様より神託を授かりますので、
 全てアカデミーの行動は監視されているとご理解ください。」

案の定出てきた高飛車な態度に、イステラは次のように返した。

「トレイ君が、自分から話してきた場合は、
 我々にはどうしようもないので、
 その場合は、我々のほうで内容を記録をさせていただいた上で、
 正アプラウス教会側に、内容をご報告させて頂きますね。」

「そのようなことはないと思いますよ。」

「なぜ、そう思われるのですか?」

「そのように、アプラウス様から伺っておりますので。」

アプラウスは預言、予知の神として知られている。
そのため、これに関して、これ以上の追求は難しかった。

「わかりました。
 違反の場合は、どのような罰則があるのでしょうか?」

「そのようなことはないと思いますよ。」

この次の返しが予測できたため、イステラはこれ以上、
モーズと会話を続けるのが嫌になった。
その雰囲気を察して、ケリーがイステラの代わりに話を続けた。

「正アプラウス教会の意向に、全面的に従います。
 ただ、一点、我々としても、
 申し上げておかないといけないことがあります。
 
 アプラウス様の神託に、自らを鍛えよ、
 といった内容がありましたが、トレイ君の教育方針に関しては、
 我々の専門ですので、お任せいただけませんでしょうか?」

「もちろんですよ、ケリー様。
 その点に関しては、アカデミーにお任せしようと、
 我々としても、考えていたところです。」

「それと、あと、契約、という点に関しましては、」

「トレイ様のご意思を尊重されてはいかがでしょうか?
 
 トレイ様の精神面のケアーに関してご心配であれば、
 在学中にケリー様がなさればよい話では無いでしょうか?
 
 我々としても、今日、明日中に彼をどこかに連れて行く、
 という話ではないのですから、充分、時間はあると思いますよ。
 
 少なくとも、充分な時間はある、とアプラウス様からも
 伺っておりますので、ご安心ください。」

「・・・・」

何かというと、アプラウス様の神託、を前面に出してきて、
こちら側の言い分を封じてられてしまう流れに、
ケリーも黙らざるを得なかった。
イステラは、これ以上、この話し合いに意味を感じなかったので、
打ち切ることにした。

「了解しました。モーズ様。
 あと何か、我々にご要望等ございますでしょうか?」

「いえいえ。特にはございませんよ。
 長居しましたので、そろそろ失礼させて頂こうかと
 思っていたところです。」

結果的にアカデミー側は、正アプラウス教会側の要求を
全て呑まされる形となって、会談は終了した。


「何が、ご安心ください、だ。」

ケリーは、モーズとアルテが去った後、
応接室で思わず、そうつぶやいた。

教会に任せていたら安心できないから、心配しているというのに、
そう言われたら、何も返せないことが歯がゆかったのだ。
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暦と時間について

<暦について>
1年の中に、月は以下のように14種類あります。
正の月と、陰の月が存在し、月の名称は、
正教会が崇める神の名前がつけられています。

1. 正ヘレニウス
2. 陰ヘレニウス
3. 正アプラウス
4. 陰アプラウス
5. 正マイスレンディ
6. 陰マイスレンディ
7. 正ボーディア
8. 陰ボーディア
9. 正パルナレス
10. 陰パルナレス
11. 正カイツ
12. 陰カイツ
13. 正レンディ
14. 陰レンディ

それぞれの月の日数は14日です。
そのため、1年=14月=196日となっており、
日の呼び名は、7月13日、という言い方ではなく、
正ボーディア第13日、という言い方をします。

なお、正ヘレニウス、正アプラウス等の正の月の場合、
月初めに、祭りが行われます。
逆に陰ヘレニウス、陰アプラウス等の陰の月の場合、
第8日~第14日の間に、信仰している神に生贄を捧げますが、
生贄を捧げなかった場合は、
その地域に多数の不幸が訪れます。

なお、年号はヘヴンといいます。
(この世界の名前も、ヘヴン、です。)
物語がスタートした日(第1話~第3話)は、
ヘヴン5653年 正マイスレンディ第10日、です。


<時間について>
ヘヴン(この世界の名称)では、1日は、14時間で計上されます。
時間の名称は、以下のように14種類あります。

1. 朝一刻
2. 朝二刻
3. 昼一刻
4. 昼二刻
5. 昼三刻
6. 夕一刻
7. 夕二刻
8. 夜一刻
9. 夜二刻
10. 夜三刻
11. 闇一刻
12. 闇二刻
13. 闇三刻
14. 闇四刻

人々は日時計で時間を計っていますが、
上位魔法使い・上位魔族・神族は体内時計で感知が可能です。

昼一刻始め、昼一刻半ば、昼一刻終り頃、
という大体の言い方をします。
昼一刻を回ったくらい、という言い方もあります。

なお、朝一刻始めが日の出で、夕二刻終りが日の入りです。
季節が変わってもこれが変わることはありません。
(日照時間は常に一定。)

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魔法使いの息子:第9話「使命」

アルテは、トレイのほうを見て、続けて言った。

「その使命は、私の使命でもあるのだ、トレイ。
 私とエレデ殿とモーズ。
 この3人で、魔界の王を討つ、という使命があり、
 私はそれに魂を捧げることを誓った。
 
 しかし、エレデ殿はこの世を去った。」

「・・・・」

「トレイ。私はお前に、エレデ殿以上の才覚を感じている。
 力を貸してはくれないか?」

「・・・・」

「エレデ殿もまた、この使命に魂を捧げたものの一人だ。
 
 私には、死者の声は聞こえない。
 だが、私には、これがエレデ殿の望みでもあるように思えてならないのだ。
 
 だからこそ、エレデ殿は、魔界の王と戦うときに武器となる魔法を、
 お前に習得させた。自分に何かあったときのために。
 
 違うか、トレイ?」

「なぜ、オレがその武器となる魔法を習得していると思う?」

「アプラウス様から聞いた。」

「・・・・」

「・・・・」

「あ~、ずっり~よな~。何も知らないの、オレだけじゃね~か。
 み~んな、アプラウスから聞いてるじゃね~か。
 わかりましたやります、って答えしか残ってないじゃん。ひっで~。」

「引き受けてくれるか?」

「ああ、わかったよ。」

「トレイ様。話が早くて助かります。
 ただ、これはこの場のお話だけではなく、必要な契約の儀式がございます。
 よろしければ、段取りのお話をさせていただきたいのですが。」

このモーズの言葉を聞いて、ケリーはこの2人が何の話をしにきているのか、
なんとなく見えてきたため、割り込んで言った。

「モーズ殿。それはもしや、アプラウス教会にトレイ君を連れて行く、
 というお話ですかな?」

「我々が連れて行くのではなく、
 トレイ様にご自分の意思で着ていただく、ということです。
 無理強いをするつもりはございません。
 いつでも良いのですが、できるだけ早く来ていただけると助かります。
 我々はいつでも歓迎いたします。」

「あんまりぐずるようなら、別にケツをひっぱたいて、
 担いでいってもいいのだがな。」

「アルテ、余計なことを言うな。
 すいませんね、ケリー様、トレイ様。
 どうも彼女は口が悪くて。」

「冗談だモーズ。誰も本気にしてないだろう。」

「あいにくと、オレには本気に聞こえた。
 やりかねないからな、アルテは。
 
 ただ、今日のところは少し考えされてくれないか?
 起きたばかりでね。自分の中で整理したいこともいろいろあるんだ。」

「結構でございます。
 ご返事に関しましては、ケリー様に仲介をして頂いた上で、
 伝言を届けていただければ結構でございます。
 良いご返事をお待ちしております。」

立会い人であるはずの帝国仕官は、椅子に座ったまま、さっきまで居眠りをしていたが、
ペンを床に落としてしまい、その音で急に目を覚ましたようだった。
彼を除いた部屋にいる全員が、彼のことはもう無視することにした。

「それでは、ケリー様。
 われわれは、トレイ様へのお話に関しましては、
 今日のところはここまでで、と考えております。
 
 ただ、ケリー様にも色々とご意見はございますでしょうし、
 別室で、今後のことなども協議させていただければ、と思うのですが、
 いかがでしょうか?」

「わかりました。
 アカデミー総長も交えて、応接室でお話いたしましょう。
 ご案内いたします。」

トレイを残して、3人は部屋を出て行った。
帝国仕官は再び眠りに落ち、いびきをかき始めた。

トレイが見ると、帝国仕官は椅子の上で仰向けになって寝ていたが、
机の上においてある用紙には、面会の日付・時間・参加者と、
彼がペンを落とすまでに行われていた会話の内容が、
正確に記述されていた。

「器用な奴だな・・・・。」

帝国仕官の幸せそうないびきを聞きながら、
トレイは今後のことを考えることにした。

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魔法使いの息子:第8話「アプラウスからの伝言」

モーズはトレイの質問に答えて言った。

「その話はアプラウス様より、伺っておりますよ。
 
 アプラウス様は、トレイ様にエレデ様の役目をついで欲しいと
 おっしゃられていました。
 
 そのために、自らを鍛えよと。
 
 そして、アルテと供に、仇敵であるサンスケール、および、
 魔界の王を討てと。
 それが、トレイ様の使命であると、おっしゃられていました。」

「ほ~お。それはまた、びっくりだ。
 使命と言われても、オレがそれに従うとは限らんぜ。」

「存じ上げております。
 アプラウス様は、こうもおっしゃられておりました。
 まずは、自らを鍛えよと。その鍛錬の出来栄えによっては、
 トレイ様には、その資格はないやもしれぬとも。」

「いってくれるじゃねえか。
 なんだそりゃ。オレを挑発しているのか?」

「アプラウス様は、こうもおっしゃられておりました。
 父親を殺されて悔しいなら、まずは、父親を乗り越えてみよと。
 もしくは、龍に殺されるのを怖れてアカデミーの魔法使い達に
 一生庇護されておれと。」

「あんにゃろう。馬鹿にしやがって。」

「どうなさいますか?」

「別にどうもしない。」

「・・・と、いいますと?」

「別にアプラウスからそんなことをアレコレ言われなくても、
 やることは、変わらない。
 地道にアカデミーで授業を受けて、魔法の勉強をして、
 実力をつけて強くなってから、考えるさ。
 
 そのアプラウスの言うことからすると、サンスケールは生きているみたいだな。
 
 魔界の王とかなんとかのことは知らんが、
 サンスケールはオレが殺す。実力をつけた後でな。
 別に復讐のためだけってわけじゃない。
 あんなのは人類の害だから、オレが掃除する。」

アルテは笑い出し、勝ち誇ったように、ケリーのほうをちらりと見て言った。

「掃除か。それは傑作だな、トレイ。
 ただな、その前に、お前に知っておいてもらいたいことがある。」

「なんだ、アルテ?」

ケリーは、2人の話を黙って聞きながらも、
面会における話の主導権をアルテとモーズに
完全に奪われていることに気付いてはいたが、
トレイ本人が、2人の話を聞きたがっている以上、
ケリーには、どうしようもなかった。

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魔法使いの息子:第7話「再会」

3人が入ってきたとき、最初、トレイはアルテのことがわからなかった。
ただ、見覚えがあるような気がしたので、アルテの方をしばらく見ていると、
彼女の方から話しかけてきた。

「トレイ、私のことを覚えているか?
 小さい頃、剣の使い方を教えてやったろう。」

「アルテか!久しぶりだな。
 あれから剣はさわってないや。
 親父にはもっぱら書物ばかり読まされたからな。」

「トレイ。
 エレデ殿のことは、本当に、お前にとって辛い出来事だったと思う。
 私にとっても、数少ない戦友を失い、心に穴が開いたような気分だが、
 唯一の肉親を失ったお前の比ではないだろう。
 何か私に力になれることがあれば、何でも言って欲しい。
 
 まあ、私に出来ることといえば、戦うことぐらいしかないのだがな。」

「う~ん。
 まあ、親父はあっちこっちの魔族と戦ってたし、
 実際、殺した魔族の数も相当なものだろうし、死ぬ覚悟もできてたろうよ。
 
 オレのことは、当面、生活の面倒はケリー先生が
 見てくれるみたいだからいいとして、
 それよりも、力になってくれるっては本当か?」

「なんなりと。」

「親父を殺した龍が死んだかどうか確認してくれ。
 龍の名はサンスケール。
 アルテはアカデミー内部にも、魔界にも、正教会にもツテはあるだろうから、
 アプローチの方法は色々あると思う。
 何かわかったら連絡してくれ。」

「ちょ、ちょっと、待った。」

話の展開の早さに戸惑ったケリーが割り込んだ。

「トレイ君、きみは・・」

「あ~、ケリー先生、心配してくれるのはありがたいんだけど、
 やりたいことがたくさんあるんだ。邪魔しないでくれ。
 それより、そこの僧侶さん。」

「はじめまして、モーズと申します。
 アプラウス教会の僧侶として派遣されてきました。
 よろしくお願いします。」

「あ、と、トレイです。よろしくお願いします。え~と。」

「私に何か聞きたいことがございますか?」

「え~と、正教会の上位僧侶は、神様と話ができるって聞いたことがあるんですけど、
 モーズさんはできますか?」

「トレイ君!失礼だろう!」

「ケリー様、構いませんよ。
 はい、アプラウス様のみですが、私は神託を授かることができます。
 それがどうかされましたか?」

トレイはかねがね頭にあった疑問の一つを質問することにした。

「アプラウスに聞いて欲しい。何故、オレを助けたのか。」

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