幻想のかけら

オリジナル小説を書いています。現在、「魔法使いの息子」というタイトルで掲載中。

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魔法使いの息子:第28話「魔法適正」

廊下で、トレイはホルスにあった。

何か晴れ晴れとした表情をしているホルスを見て、
トレイは、最初ホルスが筆記に通ったのだと考えた。

しかし、事実は違った。

「やっぱりだめだったよ。トレイ。
 不合格だ。」

「そうか。」

トレイはかける言葉が思い浮かばなかった。

「トレイはどうだったんだ?合格か?」

「ああ。とりあえず、明日も美味い飯が食えるみたいだ。」

「お前、そればっかりだな。」

なんとなく重たい雰囲気を感じて、話題を変えようと思ったトレイは、
アレスの話をした。

「ライバル心むき出しだ。あいつはもう、正魔法使いと同じくらい魔法が使えるってのに、
 あんまりオレを意識するのも、ちょっと勘弁してほしいんだがな。」

「アレスは、プライド高いからなあ。
 何でも1番じゃないと気に入らないんだろ。」

教育係がホルスに声をかけてきた。
気の早いことに、もうそろそろ船が出る時間らしい。

「じゃあな、トレイ。オレは、帰るよ。」

「ああ、気を付けてな。」

トレイは寂しい気持ちになった。
船の上でホルスと会えたのは意外だったが、頼もしい戦友と思っていたところに、
筆記で落ちたというのは、とても残念だった。

明日からは、どうもあのアレスと一緒に実技になるようだった。

トレイは魔力は低いが、低い魔力でも、効率よく魔力を使うことで、
魔法の実技では、他の魔法使いと同等の威力を出すことができた。
物理魔法よりも精神魔法の方が上手く、また、授業でもほとんど扱っていない、
それより上級の魔法もさらっとこなせるだけの、優れた魔法適正を持っていた。
そのため、一見魔力が低くても、実技をそれなりにこなせたので、
実技に関しても、それなりに自信があった。

物理魔法に関しては、圧倒的な威力を誇るアレスには全く及ばなかったが、
精神魔法と、それよりも上級の魔法に関しては、アレスよりも優れた一面を持っていた。
そのこともアレスのライバル心を強く刺激する要因の一端になっていた。
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魔法使いの息子:第27話「サリーエルの評価」

筆記試験が終わると、ホルスが近づいてきた。

「いや~、ダメだったあ。」

「おお、ホルス、ひたすら疲れたな。頭がふらふらだ。」

「半分もできなかったぞ、オレは。時間が全然足りないよ。」

「これ以上時間があったとしても、オレは続けたくないけどな。」

教育掛が、この後のことを説明した内容によると、
全員、晩飯をこの後食べて、その間に採点が行われ、
不合格だったものは、晩飯後に声をかけられて、そのまま今日中に船で帰らされる、
とのことだった。

「声をかけられませんように、声をかけられませんように。」

「ホルス。心配しても、もうできることはねえよ。
 それよりも晩飯だ。晩飯。」

フィルズの晩飯は、海に囲まれているということもあり、新鮮な魚介類がメインだった。

「う~ん、美味い!
 噂には聞いていたが、やっぱりフィルズの飯は最高だな。
 試験疲れがふっとぶぜ。」

「トレイ、おれは不安で飯が喉を通らないよ。」

「そんなこと言うなよ。ホルス。
 この飯を明日も食うために、オレは何としても残りたいぜ。」

「はあ、やっぱりだめかなあ。」

食事が終わると、教育係たちに一人一人別々に、別室に呼ばれていった。

そこでトレイとホルスは別れた。

トレイが部屋に入ると、アレスがそこにいた。
お互い意味ありげに視線を交わす。

そこはサリーエルの執務室だった。
サリーエルが2人に話しかける。

「おめでとう。君たちは筆記試験に合格した。
 明日から、実技試験に入るが、私が君たちの試験を担当する教育係のサリーエルだ。
 よろしく。」

先にアレスが話し出す。

「アレスです。よろしくお願いします。」

「トレイです。よろしくお願いします。」

「特に君たち2人は、今回の受験者の中でも優秀だと聞いている。
 トレイ君の試験内容を私は見たが、なかなかの正解率だったよ。」

「ありがとうございます。」

サリーエルはトレイを観察した。
確かに、筆記試験の内容は素晴らしかった。
だが、一瞥しただけでもはっきりとわかるように魔力は大したことがない。
大したことがないどころか、今回の受験者の中でも低い方だ。
アプラウスの剣、と聞いていたが、魔力で選ばれたわけではないようだ。
魔法知識なんぞ、時間をかけて学べばいくらでも学べる。
魔法適正に関してはまだ何とも言えないが、そもそも魔力が低いのは話にならない。
私が手を下すには値しない凡庸な魔法使い。それがサリーエルの評価だった。

「アレス君も、筆記試験の内容はまずまず良かったよ。
 しっかり基礎を抑えているね。」

「ありがとうございます。」

サリーエルはアレスを観察したが、こちらの魔力は一瞥しただけでもわかるくらい、相当なものだった。
トレイの2倍近くの魔力を内包している。
目は自信にあふれ、プライドが高そうだった。
サリーエルにしてみると、こちらの方が、よっぽどアプラウスの剣、のように思えた。
目障りな才能あふれる魔法使い。
それがアレスに対するサリーエルの評価だった。

「後から説明があると思うが、筆記試験の合格者にはそれぞれ個室がわりあてられている。
 実技試験は、朝早くから始めるので、今夜はしっかりとそこで休養をとりなさい。」

「わかりました。」

「わかりました。」


2人が部屋から出ると、アレスの方から声をかけてきた。

「トレイ、オレに勝ってうれしいか?」

「オレは知識ばかりの頭でっかちだ。親父には知識ばかり叩き込まれたからな。
 実技はアレスにはかなわない。オレは昔っから魔力も弱いしな。」

「オレはトレイには絶対に負けない。それだけは言っておく。」


アレスは硬い表情をトレイに向けると、トレイの前から去っていた。

アレスの姿が見えなくなると、トレイはため息をついた。
アレスの方が圧倒的に魔力が優れているのは本当だった。
アレスも筆記の成績が悪いわけではなく、むしろ良い方だった。
現段階では、総合的にはアレスの方が優れた魔法使いだとトレイは考えていたが、
アレスの方は、筆記でトレイに勝てないことが、どうしても悔しいようだった。
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