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幻想のかけら

オリジナル小説を書いています。現在、「魔法使いの息子」というタイトルで掲載中。

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魔法使いの息子:第30話「精霊」

実技試験の内容は試験官が召還する精霊との戦闘。
周囲に被害が及ばないように防御用の空間魔法がかかっている特別な部屋で行われる。
人が200~300人は入れそうな大きめの部屋。飛翔の魔法を使用した戦闘も想定されており天井も高い。
精霊に魔法による一定のダメージが与えられると、精霊は赤く光って動作を止める。
試験官が召還したすべての精霊を赤く光らせれば試験終了となる。

ただ、精霊に勝てば試験合格ではなく、使用した魔法の強度や精度、
精霊からの攻撃に対する防御の展開、仲間との連携、戦闘での立ち回りを総合的に判断し、
試験官と助手の2名からの採点により合否が決定する。
精霊との戦闘の勝ち負けも点数に影響するが、
負けた場合は、特別な理由ががない限り不合格となる。

助手は、サリーエルの部下であるタロウという正魔法使いが行う。
サリーエルがタロウを2人に紹介する。

「今日の試験の助手を務めてくれるタロウだ。
 正魔法使いとして孤島フィルズで私の研究の補佐を行ってくれている。」

「タロウです。よろしくお願いします。」

トレイとアレスも名乗り、挨拶をかわす。

「今から私が研究を行うときに手伝ってくれる精霊達を召還する。
 私の自慢のとても強力な精霊達だ。手加減するように頼んではあるが、
 あまりにつらい場合は、降参すると早めに言ってくれ。
 もちろん戦闘が危険だと判断したらこちらでも精霊を止める判断を行うので、
 そこは安心してくれ。」

「はい、わかりました。よろしくお願いします。」

アレスはそう受け答えする。ただ、なんだかニヤっとしたかのようにトレイには見えた。
たぶん、自信があるのだろうとトレイは思った。

サリーエルが呪文を唱え、精霊が3体召還された。
それぞれ青・緑・黄色に輝く人の頭くらいのサイズの球体だ。
サリーエルと何らかの意思の疎通を行っているらしく、
サリーエルがそれぞれの精霊に何も言わなくとも、
精霊はトレイとアレスが立っている場所を囲むような位置に移動した。
ちょうど、3体の精霊が作る三角形の中心にトレイとアレスが立っているような形だ。

サリーエルとタロウが、その場所から少し離れた場所に移動する。
サリーエルがトレイとアレスの正面から見えるところに、タロウが背面側に位置どる。

「それでは、そちらの準備ができたら教えてくれ。」

アレスがトレイの方を見る。

「オレが前の青と左側の緑をやるから、トレイは右側の黄色を。
 先に片付けたら俺の邪魔をしない程度に後は適当にしてくれ。
 そんなもんで、後は連携もいらないだろ。」

「わかった。」

「じゃ、それでいいな。」

色々と指摘したいこともあったが、めんどくさいのでトレイはそれで同意した。

「サリーエル先生、準備できました。」

「では、始め!」

緑がその場で光を強くし、青が即座に天井に向かって移動、黄色が後ろに下がる。
緑が即座に発動する攻撃魔法、青が支援、黄色が時間がかかる攻撃力の大きな攻撃を打ってくるとトレイは予想。
連携が取れている様子なので、サリーエルが指揮をしているという予想も行う。
黄色が何かするまえに邪魔をできるよう、トレイは即発動できる魔法を唱え始める。

アレスは飛翔の魔法を短くつぶやき、杖を取り出して青に向かって突進する。
緑の魔法がトレイの背中に当たろうとお構いなし、というところだ。
近距離攻撃用の呪文を素早く唱えると杖が青白く光る。
青が回避行動をとろうと移動するが、アレスは飛翔の魔法を使いこなしており、
青に即追いつく。素早く青白く光った杖で青を上から打撃し、青が地面にたたき落される。

緑の魔法が発動し、トレイの背中に向かって粘つく粘液が発射されると同時に、
トレイは黄色に向かって水の刃を連続で飛ばす。そのうち何発かを背中の粘液に向かって発射。
粘液をすべて撃ち落とす。
黄色は刃を回避しようとするが、何発かあたり呪文の詠唱を中断される。

アレスは空中で風魔法を素早く唱え、青、緑、黄色3体同時に向けて風の刃を飛ばす。
緑は回避。青と黄色はすでに攻撃がヒットした後で十分な体制がとれておらずそのまま命中。
青が変色し、赤く光って動きを停止する。

「えー、早いなあ2人とも。もう1体の精霊が動作停止だよ。
 でも、アレスとかいう子、残念な子だなあ、、、ま、僕はしらないけど。」

タロウは見ていて感心しつつ、なぜかアレスを残念呼ばわりする。

「ほほう。2人ともなかなか。連携はともかくなかなかのものだね。」

サリーエルも感心した。

アレスが飛翔を解除し落下しながら炎の球の呪文を素早く詠唱、
地面に着地と同時に炎の球を緑に向けて放つ。
それと同時にトレイが石礫の呪文の詠唱を終え、黄色に向けて10発放つ。

トレイは青の動作停止を見ていたので、個々の精霊の耐久度を予想し、
黄色の予想残耐久度から、全力で石礫を10発すべて当てると、オーバーキルになって
下手をすると精霊を殺害してしまう可能性があると考え、あえて広範囲に放って、
よけにくく、かつ、いくつか当たってしまったら機能停止、となるように調整して黄色に攻撃する。

「む!いかん!」

サリーエルが、アレスの放った炎の球の威力に危険を感じる。

炎の球は緑に着弾すると、緑はダメージを受けて機能停止。
それだけならよかったのだが、炎の球は緑にぶつかってなお、緑を通り過ぎてさらに十分な威力をもって、
緑の後ろにいるすでに機能停止している青の精霊に向かっていく。

サリーエルはとっさにシールドを展開しようとするが間に合わない。
炎の球は青に着弾し、機能停止していた青の精霊を破壊する。

「あああ!ラピスよ!なんてことだ!」

サリーエルが両手で自分の顔を覆う。
アレスは、精霊ごとき破壊したところでどうというのだ、という表情をみせる。
その表情を見て、サリーエルの顔色が変わる。
と同時に黄色がトレイの攻撃を受けて、赤く光り機能停止する。

「試験終了!二人ともお疲れさまでした!」

助手のタロウが宣言し、青の精霊のところに走って向かう。
走りながら小声で呪文を唱えると、タロウの手に持った杖が青白く輝き、青の霧のようなものが杖を包む。
タロウは杖を青の精霊に向けて、精霊を青い霧で包むが、青の精霊は何も反応しない。

一時的な機能停止どころではなく、完全に物理的に破壊されたようだ。

「サリーエル先生、、、、。」

タロウが申し訳ないように、サリーエルの方を向き首を横に振る。

「いや、タロウいい。わかっている。」

サリーエルがアレスの方を無言で見つめる。

「・・・・。」

アレスもここにきて、自分が何をしたか気付く。

「す、すいません。威力の調整を間違えてしまったみたいで。申し訳ありません。」

アレスはサリーエルに向かって頭を下げた。

「アレス、傲慢なのではないかね?
 精霊ごときただの道具だと君は思っていないかい?」

「い、いえ。そんなことは。
 ただ、私が未熟なあまり精霊も耐えられないような威力の魔法を」

「君は自分の魔力を誇りたいあまり、
 あえて私の精霊を虫けらのように扱ったようにも見えたが?
 緑と青を串刺しにできるように、あえて強度を上げて魔法を打ったのではないかね?」

「そんな!
 そんなつもりは誓ってありません。」

「私も君の魔法の威力を考慮して、精霊達の耐久度をもっとあげておくべきだったのだろうな。
 未熟なのは私の方だ。
 申し訳ないが、明日、再試験を行わせてもらう。
 君たちには、もっと強化した精霊と戦ってもらった方が、ちゃんと実力を見れるのだろうね。」

サリーエルは、それ以上アレスを責めることはなく。
淡々と、明日の予定を2人に言い渡して、部屋に戻るよう指示をした。

・・・

部屋に戻ってトレイは思った。

「(オレは関係ないんじゃねーの?
  黄色殺さなかったじゃん。アレスの自分勝手戦闘でも連携とっているていになったじゃん。
  アレス一人でやってくれよ。あーあ、巻き込まれちまったなあ。
  アレスが悪いってことはないんじゃね?サリーエル先生が自分で言ってたけど、自分の精霊は自分で守れよ・・・。)」

明日もまた試験である。

そういえば、とトレイは思い出した。確かに、アレスは残念だ。
でも、そう言われたタイミングがなんかおかしくないか?
あの助手、なんていったっけか?
そうだ、タロウだ・・・って、なんか珍しい名前だな・・・。

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