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幻想のかけら

オリジナル小説を書いています。現在、「魔法使いの息子」というタイトルで掲載中。

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魔法使いの息子:第34話「セゼルスの戦い方」

実技試験の時間になり、トレイとセゼルスはサリーエルの執務室に顔を出した後、
試験を行う部屋に行った。今回は助手2人控えていた。そのうちの1人はジョージが話しかけてきた。

「今回も精霊を用いるが、安全のため前回の時よりも攻撃力の弱い精霊を用意した。
 私以外のもう1人の助手は、治療師だ。万が一のこともあって、同じことは繰り返さないように、
 今後は、この体制で試験を行うことになったのでね。」

目の前に浮かぶ精霊は前回と似て暗い紫色をした球体。ただ、前回のような赤色の火花は浮かんでいなかった。
この処置は正直ありがたい、とトレイは思った。トレイはサリーエルを信頼できなかったし、
こうして安全策が講じられている状態であれば、前回のような危険な目にはあわずにすみそうだと思った。

「トレイ。私はサポート役に徹しようと思っているのだけれど。
 基本的には距離をとって、防御系や援護系の魔法を中心に使おうと思っているけど、
 それで問題ない?」

セゼルスがこちらを見て、戦いの方針を訪ねてきた。

「ああ、それで構わない。攻撃はオレが中心になって行う。
 セゼルスも状況に応じて、攻撃に参加してくれ。攻撃への切り替えの判断は任せる。」

セゼルスが軽くうなずく。

「2人とも準備はよさそうだね。」

ジョージはそう言って、サリーエルの方を見ると、サリーエルが号令をかけた。

「では、始め!」

セゼルスが軽くバックステップを踏んで精霊との距離をとりながら、防御用呪文を唱え透明な魔力でできた盾を目の前に出現させる。
オレはとりあえず精霊の動きを観察しながら、とりあえず風魔法を素早く唱えて、精霊に向かって風の刃を飛ばす。

前回と同じく精霊の姿が消える。それと同時にオレは視力強化の魔法を唱える。やはり、そうだ。
自分自身の姿を透明化して精霊は動いていた。透明化していても、視力強化の恩恵で精霊のいる場所が多少歪んで見えることで、
ぎりぎりいる位置がわかった。精霊はオレの背後に回ろうとしていた。
振り返って、防御用呪文を唱え、盾を出現させると同時に精霊が姿を見せ、霧のようなものを吹きかけてきた。

「セゼルス、こいつ透明化する!」
「そうみたいね」

霧はオレの周囲を完全に覆った。霧は深く、視界がふさがれたため、霧の広がりの規模はわからない。盾のおかげで直撃は受けていないが、
もし霧の毒の効果があったら、それを吸い込むことになるのは時間の問題だ。
オレは防御用呪文を唱えて、全方位のバリアに切り替えつつ。右方向に走る。

キン!と金属音のような高い音が響く。どうやらセゼルスが精霊に何か剣のようなもので切りつけたかのような音だ。
んー?剣?
魔法じゃなくて?
ここ魔法使いの実技試験会場なんですけど。

霧の中を走り抜けて、部屋の様子がわかるようになった。
セゼルスが手に光の剣?のようなものを手にしている。ああいう魔法もあるのだな、と思っていたら、
精霊の姿が見当たらない。

セゼルスが霧の方向を注視して、光の剣を構えている。
すると、セゼルスが素早く剣を動かして、何かを払うような動きをすると同時に、
キン!キン!と2回高い音が響く。

よく見ると、かすかに透明化された精霊の身体の一部が鞭のようにしなってセゼルスを攻撃しているのがわかった。
それもかなりの速度だ。あんなのよく防御できるな。

「見てばかりいないで、攻撃して!」

怒られてしまった。飛翔の呪文を唱えて、天井付近まで飛んで上から見下ろし、攻撃呪文の詠唱を開始する。
精霊の姿は非常に見えにくいが、空中を上下してセゼルスの周りを時計回りに動きながら、
鞭のようにしなる体で攻撃している様子が見て取れた。セゼルスは光の剣で防御をしている。
と、セゼルスに向かって精霊が霧を勢いよく吹きかける。霧を吹きかけながらも精霊は鞭のようにしならせて
視界が霧に覆われたセゼルスを連続で攻撃すると、キキキキン!と高い音が鳴動する。
って、あの状態で防ぐのか。すげえなセゼルス。アレスよりよっぽど頼りになる。

呪文の詠唱を終えて、オレは精霊に対して攻撃をしかける。
さっきから見てると、どうも物理系魔法が得意な精霊に見えていたので、オレは精神干渉の魔法を選んだ。
精神干渉の内容は、威圧、だ。恐怖心を抱かせ、攻撃する意思を強制的に弱くさせる。
一度かかると、重ね掛けをすることが可能で、最終的には、服従させることができる。
ただ、精神魔法が得意な相手にこれをかけようとすると、そっくりそのまんま返されてえらい目に合うのだが。

精霊の動きが止まる。オレは重ね掛けの効果を狙って同じ呪文を詠唱し、再度、精霊に精神攻撃をかける。
手ごたえがある。部屋に広がった霧が弱まっていき。セゼルスの姿も見えるようになった。
セゼルスは光の剣を構えて、じっと精霊の方をにらんでいる。

「精霊よ。オレに従え。」

オレがそう口にすると、精霊は空中から床におり。動かなくなった。
サリーエルの方をオレは見た。

「う・・・む。終了だ。」

サリーエルがそう口にした。ジョージがオレのほうを見る。目に心なしか賞賛の色が浮かぶ。

「すごいね。攻撃力は下げたけど、それ以外は前回とほぼ同等の強さを持った精霊だったんだよ。」

オレはほっと一息ついた。
威圧の精神魔法は強力だが、それだけ疲労度も大きい。

「結果は、私とジョージで判定する。部屋に戻って、待機していなさい。」

「はい、わかりました。」

・・・

これで試験終了だ。たぶん良い結果が出せたのではないかと思った。
良い相棒を持つと戦いが楽だ。

「凄いなセゼルス。あの攻撃を防御の盾を使わずに、剣で捌くなんてな。」

「バリア張りっぱなしだと、魔力をただ消費するだけでしょ。迎え撃った方が楽なのよ。
 あと、光の剣の魔法だから、あれも魔法よ。魔法。」

「霧吹きかけられたら、さすがに見えなくないか?」

「見えなくてもわかるわよそんなの。なんとなく。」

「そういうものなのか。」

「そういうものなのよ。」

「自分の実技試験の時はどう戦ったんだ?」

「基本的には、飛翔で飛んで、光の剣出して、精霊の懐に飛び込んで攻撃。
 相手からの攻撃はかわすか、光の剣で撃ち落とす、という感じね。」

「それは魔法使いの戦い方なのか?」

「私は魔法剣士目指してるから。」

「そもそも光の剣はいるのか?」

「魔法の実技試験だからよ。ここに愛剣持ってきて振り回すわけにはいかないでしょ。」

「そりゃそうか。」

「それでも、私本来の戦い方はできてないんだけどね。」

「え、あれでか?」

「アルテはあんな戦い方はしない。」

あー、アルテな。あの高みを基準に考えてるんだろうな、この人は。

「ともかく、今日は助かった。ありがとうな。」

「どういたしまして。」

「お互い、試験受かるといいな。」

「そうね。じゃあ、また明日。」

オレたちは、お互いの部屋に戻った。

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